今時の東光寺だいこん
「東光寺だいこん」と聞かれても、はてな、大根であることは察しがつくが、何もの?
「東光寺」は「とうこうじ」。
JR日野駅から西へ2kmほど、八王子市と接する現在では日野市栄町5丁目あたりの地域です。
日野市の中でも、歴史がとても古く、甲州街道ができるはるか昔、源平合戦以前から人が住みつき、その子孫の方々が現在でも住まわれています。
100年以上前から受け継いでいる品種です。細く、首の所は10円玉くらいの太さしかありません
東光寺だいこんの畑
洗い終わってこれから干す準備です
ひも掛けにも技があります
重いので干すのは男性の仕事
最後はお茶で締めくくり
そこ、東光寺で生産されているのが、「東光寺だいこん」です。
この大根、煮ものになったり、大根おろしにしたりする大根ではありません。
「漬け物用」です。
時は江戸から明治、お隣八王子は、織物の街として栄え織機工場が軒を並べていました。
そしてそのころ関東一円、さらには、日本を上げて生産に取組んだのが織物の原材料となる蚕。
日野もご多分に漏れず、村落合併の際「桑田村」なる「新村」が生まれたくらい蚕に励んでいました。
と同時に、工場で働く女工さんたちの食事の惣菜も八王子近隣の農村にとっては大きな糧となっていました。
「東光寺だいこん」で作った漬け物も、そうした女工さんたちの「労働力」への需要から生まれたのだそうです。
その需要も現在では激減し、「東光寺周辺の田んぼが干された大根で白く埋め尽くされていた」といいますが、今では、東光寺を訪ねてみると、ビニールハウスの中に干されている真っ白な大根をやっとの思いで見つけられる規模となっています。
初冬のこの時期、例年なら、家族のみなさんで大根の世話をしているビニールハウスに、多くの人影が見られたので、伺ってみると、日野市中央公民館主催の農業理解講座「ご当地日野の究極の漬物づくり~東光寺大根」に参加されているみなさんでした。
畑から抜いてきた大根を、「洗い」そして「干す」までの作業を体験するということで、農家の方に手ほどきを受けながら、300本ほどの大根に挑戦。
干された大根に大満足の様子でした。
これから、1週間ほどの間、順番に干されていく大根。
日野の冬の風物と歴史を伝える風景です。
新鮮野菜の直売場もハウスのお隣にあります。
この農家の「東光寺だいこん」はほとんど予約販売ではけてしまいますが、自家製の漬け物もしばらくすると直売場でも買えるとのこと。
散歩がてら、ちょっと探してみて下さい。