田植え時
6月になると、風景が一変するのが、田んぼ。
カルガモ親子の一番の敵は人よりもカラスです
やれ、ついこの間までレンゲが今年は少ないなどと眺めていた枯れ田にはあっという間に水が引かれ、そんな季節なんだと思う間もなく、苗が植えられ、少し湿気を帯びてきた風に揺らぐようになります。
おじいさんの田植えを見にくる姿も
秋には20kgほどの収穫があります
まず、用水を清掃して、田んぼへの水の取り入れ口を調整して、苗床を作って、その成長を見守りながらしろかきをしながら、のろ(田んぼの畦を土で固める)を作ってと、その移り様を道草がてらに眺めていたなんて、悠長なことは今の田んぼにはありません。
苗は別の場所、多くはハウスの中で田植機に合わせたトレーで水栽培。
しろかきも機械、小気味良いエンジン音とともに、ずんずん田んぼへと変身させます。
落ち付く間もなく、田植機がやってきて、さくさくと苗が植えられていきます。
と、はたから見ているほど事情は簡単ではなく、多摩の米蔵と呼ばれていた日野も、今や田んぼは希少品。
機械化加えて、農家は高齢化が進み、多くは田植え、稲刈りは普段は勤めに出ている家族が頼りとなり、作業ができるのは必然的に土日が中心となっています。
鯉も種植えの時期です
田植えの後は用水でサッパリ
そんな事情で悠長に作業をしている場合どころではなく、雨であろうが、決めた日には田植えをしなければならず、そして、植え時は同じ。
かくて、一瞬の間に苗がそよぐ田んぼが出現するわけです。
でも実際にはのんびりとしているのも本当です。
川辺堀之内の田んぼでは、カルガモが子育て真最中。
農家の人には警戒しないのに、よそ者が近づくとさっと、草影に見を潜めます。
田んぼに水を運ぶ用水では、鯉がこちらも一年に一度の産卵期。
雄は雌を取り囲み一心不乱、あげくには田んぼから流れ落ちる小さな水路まで入り込み、背びれ丸出し、それも何匹もです。
しばらくするとさっきまで、カルガモがいた田んぼには米作り体験の子どもたちがご到着です。
その間は農家の方はボランティアの時間。
秋のまでの手入れと、稲刈りもご足労とのこと、ほんの一時間あまりでさっと去ってしまった集団でしたが、でも、楽しそうなひと時でした。
都会から見れば別天地?
同じ日には、百草の谷に唯一残る谷戸田でも体験米作りの会が開かれていました。
こちらは会員制で、日野以外から多数を占め、駐車場には都内や横浜ナンバーがずらり、今年の参加者は100名を越す人気ぶりです。
全員に公平に田植えをしてもらうのは、これはこれで大変で、「予定時間相当オーバーになちゃた」、そうです。
汚れを湧き水の小川で洗うのも新鮮体験