「松連庵」の茅葺屋根、葺き替えです
冬の百草園、今年は寒さのためか、例年なら花を付け始める「ロウバイ」も固いつぼみのままです。
この寒さの中、12月10日(土)から12月25日(日)までの期間行われていた園内にある松連庵の茅の葺き替えが終わり、冬景色の庭園を明るく照らしています。
手前の西側は一昨年に葺き替えされています。随分色が変わりました" />
で仕上げられていきます" /> 今回の葺き替えは一昨年に行われた西側面に続く作業で、今年は南側、北側両面の屋根が葺き替えられ、来年の東側面を最後に、通算4年間にわたる作業が終了する予定だそうです。
年月による自然の傷みもそうですが、カラスが巣の材料としてばかりでなく、イタズラで茅を抜いてしまうのが困りもので、2年前に葺き替えられた場所もよく見ると、もう、その傷跡が見て取れます。
飛ぶ様子に似ていることから
名付けられたとのこと" /> 作業を担当したのは宮城県石巻市北上町にある熊谷産業という会社で、北上川の河川敷で茅の栽培をし、茅葺きまで一貫して行っている茅葺き屋根界では有名な会社です。
その技術は高く、兼六園・夕顔亭、中尊寺法泉院、伊勢神宮などの国宝・重要文化財の葺き替えも行っています。
茅葺き作業の最中、少しお話を伺ったところ、「日野には、もう茅葺きの屋根の民家はないの?」。そう言えば、とんと見当たらなくなりました。
あっても、外から見る限りではなかなか気づく人は少ないのですが、トタン板で覆ってある家が、数軒。
確か、高幡不動駅近くにある「長屋門」が茅葺きだったような。
トタン板で覆ってしまうと、茅が蒸れて、結局は屋根そのものを直すようになり、その時、茅葺きは経費がかさむことから姿を消していくことが多いのだそうです。
今回の百草園の作業は2週間あまり、松連庵ぐらいの規模だと、もし屋根全部を葺き替えしたら、1ヶ月くらいの作業になるそうで、これまで手がけた仕事の中には、「通算で2年以上かかった大物」もあったということです。
葺き替えが終わった茅葺き屋根。北上川の風に吹かれて育った茅は、多摩に注ぐ柔らかい陽を浴び、その黄金色を冬の丘陵に輝かせています。
後、ひと月もすれば、百草園の梅が日野に春の訪れを告げてくれます。
その時、梅たちが「おやっ、屋根、きれいになって」、と驚くかどうかはいざ知らず、いつもとは違う、ちょっと引き締まった顔ををいっしょになって見せてくれるはずです。
※百草園では平成18年2月1日〜3月21日の期間「梅まつり」が開催されます。