2012年5月21日午前7時31分55秒東京都日野市
今年になってから、テレビや新聞を賑やかしていた「金環日食」。
一瞬の出来事でした
どこかに明日5月22日開業のスカイツリーも見えてます
予想通り、大賑わいです
オーソドックスな観察です
金環日食直前
別の公園では一人占め
前日の天気予報によると、東京地方はその時間、雲に覆われてそれこそ雲行きが悪しの情報が流され、せっかくの天体ショーも、次世代にお預けかと、半ば諦めていたものの、その当日の朝になっていると、雲の隙間からお日様が注ぎ、天気予報が言うほどのことでもなく、それではと兼ねてから決めていた所へ出かけてみました。
その場所は「東光寺台地」と呼んでいる、台地。
この台地をたどれば、有名な高尾山や奥多摩の山々に繋がる関東平野の南端に位置しています。
標高は100mほど、多摩川が流れる眼下の低地は60mほど、晴れると都心方面、もちろんスカイツリーも、はおろか筑波山、日光の山々まで見通せる眺望の地です。
太陽は頭の上にあるのですから、別に眺望が良いからといって、「金環日食」の見え方が変わるわけではありませんが、いっしょに地球も感じたいからでしょうからか、同じ魂胆を抱いた人たちが、今か今かと待ち受けていました。
何しろ、東京あたりで前回観測されたのは江戸時代の後半、天保十年。
173年前のことだそうで、日野がふるさとの土方歳三は当時4歳。
この同じ空を見上げたかどうかは定かではないものの、その頃は日食は不吉なものと信じられていたそうな。
それに比べ、何でこう時刻まで正確に判ってしまうのだろう、恐るべし科学と感嘆し、それに合わせて、それまで聞いた事も無かった「日食観察用グラス」なども巷で売り出され、お年寄りが言う所の「昔、ロウソクの煤をガラスに付けて見たのは何だったんだ」、の声に「なんだったんでしょうね」、と応えるすべしかなく、直接見ると眼を痛めるとの忠告に「日食観察用グラス」を買いそびれたので、それではみなさんがどのように観察しているのかだけでも見ておいて損はないと己をなだめての「観察会」でした。
その時が来たのでしょう。
「ワー凄い。本当だリングリング」、辺りのざわめきを聞きながら、せめて、「そうだ木漏れ日でも見えるって話しだ」、と一本立ちのケヤキを見上げると、それまで、これでも日食なんだと思う程サンサンと輝いていた太陽が、低く流れる厚い雲に隠れようとしていました。
これで万事休すなのか、と輝きを失った太陽を見上げると、それは、天然の「日食観察用グラス」の出現でした。
ほどよく遮った雲を通して、見える光の輪。
数秒間のうちに、また、雲は流れ、輝きを増した光は、もはや「日食観察用グラス」を通さずには直視できなくなっていました。
それは、2012年5月21日午前7時31分55秒の出来事でした。