日野宿の鮎
秋、ひと雨ごとに涼しさが増しています。
つい2週間前までは半袖で過ごしていたのですが、この前の台風が通り過ぎた後、遠くを見上げれば、それまで地肌を見せていた富士山が一晩で雪化粧した姿になっていました。
日野宿でこの時期になると、注目を浴びるのが鮎。
春先、東京湾から多摩川を遡上してきた天然鮎は、10月を迎えると産卵のため下流へと向かい始めます。
研究によれば、調布から世田谷にかけての中流域で産卵するということです。
日野宿を東西に横断する日野用水は、多摩川からの水が流れており、鮎の遡上時期になると用水に迷い込んだ姿が見られるようになりますが、その頃は眼を凝らして探してもなかなか見つけるのがむつかしい大きさです。
そのまま用水路で育つ鮎もいます。
でも、秋の雨で増水すると、多摩川の本流を避けて用水を下る鮎もかなりの数にのぼっています。
育った鮎は他の魚に比べてひときわ大きく、体をよじらせてキラリと光りながら石苔を食べる姿は特有。
数年前からは、日野駅近くで溜まって泳ぐ姿が決まって見られるようになり、まちの人たちの歳時記となっています。