時の波
6月も下旬です。
この時期、いつものように、いつもの所であたり前のように見ることができた光景が、今年から、見られなくなってしまいました。
もうすぐ、この風景も変貌を余儀なくされます
区画整理に伴った遺跡調査も始まっています
昨年までは苗がなびいていました
もう水が牽かれることもありません
その場所は川辺堀之内です。
2008年に日野バイパスが開通し、のどかな風景も否応なく変化させられてきました。
バイパス沿いには、マンション、焼肉店、レンタカー屋さん、そして、今週末にはガソリンスタンドがオープン。夏中には、港直送を売りにした大きな魚販売店も開店します。
それよりも、今年もっと変わったことは、堀之内から田んぼが激減したことです。
「賑やかになる」所に隣接している土地で、昨年まで営まれていた稲作が終わりをとげました。
ですが、それはバイパス沿いの所での「予想されていた変化」。
そこから数百m離れ、まとまった田んぼが見ることができ、5月にはレンゲが子どもたちを喜ばしていたていた場所でも、今年、田植えが行われた面積は、昨年に比べると一割に。
堀之内全体だと、半分くらいに減ってしまったかもしれません。
堀之内地区では、低地では豊富な浅川と湧き水によって、永々と稲作が行われ、浅川が形作った段丘の上では畑作を行い、台地の淵に寄り添うように集落が並ぶ、典型的な日野の地形とともにある、農の風景を「今では」見せてくれています。
「今では」というのは、昨年から区画整理事業が本格化したから。
来年、再来年、そして数年。
変化の時は続きます。
幾代に幾重も自然と人とが織りなしてきた風景は、百年後、二百年後から振り返ることがあれば、「歴史的変貌の時」を迎えています。