麦秋
たくさんの車が行きかう日野バイパス。
ここが一面の田んぼだったことは今では想像することも難しくなっています。
でも、ちょっとバイパスから横道に入り込むと、懐かしい風景に出会えます。
日野郵便局あたりは「宮」と呼ばれる地区。
郵便局の横を東西に行く道は、はるか昔から使われています。
沿って流れていた用水路は近年暗渠になってしまいましたが、それでも、ゆるく曲がりながらの道の先にはケヤキの林が囲む長屋門が残る屋敷があったりと、ちょっと風情を感じます。
毎年この時期、その長屋門の前の畑には、ズッシリ穂を垂れた収穫前の小麦がそよぐのが見られます。
日野の米作地では裏作として麦がたくさん栽培され、その刈り取りが終わると、いよいよ田んぼの用意が始まっていましたから、そんなことも思い出させてくれる麦畑です。
でも、今年は何か様子が違う、なぎ倒されたものも多く、穂先が黒く変色してしまってるものもあります。
この麦でうどんを打ったり、パンを焼いたりしているという栽培者の方にお聞きしてみると、「これから実が大きくなってという時、このところの大雨ですっかりやられてしまって、ほとんどは実が入っていない。今年はあんまり良くないね」、とのこと。
「秋でもないのに、こんなに台風だもんね」。
麦秋の「秋」の字が恨やましい今年です。