「ここで見てもらえるのは、特別なんだ」

「こう言ってはなんだけれど、他の場所と比べて、お客さんの熱量というか、視線の強さが違う。しかも、ここは土方歳三たちが”居た”場所なのだから」。

土方歳三資料館で行われた、2回目となった天然理心流日野道場の演武開始前の剣士がそう呟きました。

今年は5月11日に開館30周年、節目の年を迎えました。

演武前には記念の太身木刀が、井上源三郎資料館館長あり天然理心流日野道場代表でもある、井上雅雄さんから贈呈されました。

まだ、今ほど情報が広く行き渡らないころから、一部の人たちには日野と新選組の関わりは知られていました。

ですが、その関係史料を眼のあたりにすることは難しいことであり、その扉を開いたのが、「土方歳三資料館」でした。

休館前には「特別展」が開催される時や、ひの新選組まつりの時期には、周囲の道路をぐるりと来館者の列が続くこともありました。

土方年王資料館館長に手渡された太身木刀
土方歳三のブロンズ像も綺麗になり、場所も歳三手植えの矢」前に移された

それを回避するためと思われますが、再開館に合わせて、趣があった庭園が一大整備されて「広場」が出現。

当然、以前の姿を惜しむ声も聞こえては来ましたが、それよりも訪れるみなさんの安全が保たれ、加えてこれまで出来なかった催しもできる空間が生まれ、何となくですが、落ち着いた雰囲気になった気もします。

11月17日に、6月に続いての天然理心流日野道場の演武、外国人の来館者も前回より多く、演武体験にも挑戦する姿が見受けられました。

資料館から、少しの歩いた浅川土手からは、富士山もくっきりと眺められ、のんびり歩けば、その先の高幡不動尊にたどり着けます。

新選組に興味がある外国からの方、勿論、日本人にもですが、「ここで見られるものは、特別なんだ」、なのかも知れません。

余談ながら、汗ばむほどだった11月17日には、富士山はまだどう見ても「黒富士」でしたが、たった5日間のうちにひと降りで「真白き富士」の姿、秋を感じないうちに冬がやってくるようです。