日野用水を歩く ―上流編―

時代をそして今をも見つめ、流れ続ける日野用水。この流れを上流へとたどります。

コースJR日野駅〜レンガ橋〜(薬王寺)〜加賀塚〜よそう森公園〜水車堀公園〜東光寺緑地〜成就院・東光寺薬師堂〜石橋碑〜新旭橋〜お茶屋の松〜石川堰〜八王子水再生センター〜日野用水堰〜大蔵院〜宇津木台バス停

MAP1

JR日野駅

国道20号線に面した駅舎は昭和12年、中央線が複線電化された際に建てられたものです。近在の農家を模してデザインされたと言われています。

レンガ橋

中央線の前身である甲武鉄道が明治37年に開通した当時から使われています。このレンガは日野にあったレンガ工場で焼かれたものです。多摩川鉄橋の橋桁にも使われています。

薬王寺

本尊は大日如来。真言宗智山派高幡山金剛寺末でした。

加賀塚

日野用水が開削されたころ、このあたりの実力者の一人に竹間加賀入道という人がいました。加賀塚があった場所にはその屋敷があり、天正18年(1590)2月に竹間加賀入道はここで自害したと伝えられています。加賀塚は墓ともいわれ、日野市文化財に指定されています。

加賀塚公園の中にあります
加賀塚公園の中にあります

よそう森公園

水田と用水路を組み込んだ公園です。

水車堀公園

日野の用水路にはたくさんの水車が架けられ、製粉などに使われていました。この公園には当時の様子を伝えるために水車が設置されました。

日野ではここの他、向島用水親水路にも水車が設置されています。

東光寺緑地

この緑地ではたくさんの方々が緑地保護の活動をしています。春先にはカタクリ群生が一面を紫色に染めます。また、夏にはキツネノカミソリの群落も見られます。

成就院 東光寺薬師堂

成就院境内にある東光寺薬師は「安産薬師」として古くから信仰されています。

春を迎えた東光寺薬師堂
春を迎えた東光寺薬師堂

成就院がある東光寺地区は日野市域でも古くから、人が住み着いた場所です。成就院裏には多摩川が流れ、まだ、懐かしい風景にも出会えます。

東光寺は農業が盛んな地区でもあり、漬け物にする「東光寺だいこん」が有名。また、梨、ブドウ、ブルーベリーなどの果物、バラの栽培も行われています。

石橋碑

東光寺大坂下には石橋碑と大坂碑があります。

ここから見える杉の木がある場所は、成就院に移築される前の東光寺薬師堂がありました。

石橋碑上流で日野用水は2本に分かれています。成就院方面へ向かう用水が「日野下堰用水」もう一方を「日野上堰用水」と呼ばれています。

成就院から少し下った「日野下堰用水」では、土手から用水に降りられるため、小学生の体験学習の場としても利用されています。また、春には桜に包まれ、格好の散歩路となっています。

左が石橋碑、並んで大坂碑
左が石橋碑、
並んで大坂碑

神明社

東光寺の鎮守です。

新旭橋

新旭橋の下を流れるのは谷地(やじ)川です。河川改修が行われ現在のような直線の川となりました。旧谷地川は石川堰の場所を流れていました。新旭橋と平行して日野用水も橋で川を渡っています。このあたり、たぬきやハクビシンが出没するそうです。

お茶屋の松

日野用水に沿った道は「東光寺道」とも「拝島道」とも呼ばれていました。用水を掘削した時に造られた道ともいわれる古い道です。現在は工場の敷地に細い松が植えられていますが、ここには、昭和40年代まで「お茶屋の松」という黒松の大木がありました。

お茶屋の松付近の用水は改修された際、整備され、釣りも楽しめる場所になっています。

安心して釣りができます
安心して釣りができます

石川堰

日野用水改修記念碑
日野用水改修記念碑

この堰から用水の余水が落とされている流路は旧谷地川の川筋を利用した谷地川用水です。

川岸には「日野用水改修記念碑」が立ち、旧谷地川跡上流方面は遊歩道として整備され、現在の谷地川へと続いています。

流路跡に造られた遊歩道
流路跡に造られた遊歩道

MAP2 「お茶屋の松」を境に八王子市に入ります

昔からここは東光寺村(日野市域)と粟ノ須(あわのす)村(八王子市域)との境界となっていました。この先、日野用水は小宮、を抜け、平町にある日野用水堰(平堰)まで続きます。

八王子水再生センター

平成4年11月に稼働を開始した、日野市にある浅川水再生センターと並んで最も新しい水再生センターです。八王子、日野市、昭島市、羽村市の一部とあきる野市、日の出町、そして檜原村の大部分の下水を処理しています。水処理施設の上部は八石下広場として、多摩大橋より下流は栗の須広場として解放されています。

日野用水堰

この堰から日野用水は取り入れられています。堰のある場所の地名から「平(たいら)堰」とも呼ばれています。

ここ八王子市平町はその昔は平村だったため、浅川に沿った日野市域にあった平村は変名を余儀なくされ南平となったという経緯を生みました。

堰は昭和29年から8年もの工事を経て完成しました。近年においても魚道の建設など、改良が加えられています。

堰によってできた中州は絶好の生き物たちの棲み家となっています。なかでも、夏はツバメの集団ねぐらとなっており、夕方には野鳥愛好家が多く訪れています。

大蔵院

真言宗智山派 比羅宝山大蔵院。 開創は元和年間(1615〜24)と伝えられています。丘の上の墓地、さらに上にある西王神社からの眺望はすばらしく。多摩川とその流域の街、そして秩父の山並みも見渡す事ができます。

道を隔てて、八王子市の天然記念物に指定されている大イチョウの木があります。

宇津木台バス停

宇津木台バス停からはJR日野駅、八王子駅方面へのバスが出ています。また、JR八高線小宮駅からJR五日市線東秋留駅までの「かたらいの路 滝山コース」はこのバス停を起点にすると便利です。おおむね、2時間ほどのコースです。