柿の新種はいかがですか?

多摩南部から川崎、横浜にかけての多摩丘陵一帯では、柿が一世を風靡した時期がありました。今でも古い農家に小さな実をたわわに実らせている柿の大木を見かけることがあります。この柿、「禅寺丸柿」といいます。

川崎市麻生区にある王禅寺に原木が残っている種類で、「柿生(かきお)」の地名の由来にもなっている柿です。「禅寺丸柿」は江戸時代から戦後まもなくまで都内の市場に盛んに出荷され、農家の貴重な収入源になっていたとのことです。

現在は、富有柿や次郎丸など地方からの柿が出回り、地場のものを口にすることはなくなってしましました。ところが、ぶどうの「高尾」と同じく、立川にある東京都農業試験場で生まれた、新しい品種の柿が日野でも栽培されているのでご紹介します。

富有柿と晩御所をかけ合わせた興津2号に花御所をかけた実を播き、昭和61年(1988)に19年の月日をかけ新品種として登録された、「東京御所」という名の柿です。

あっさりとした甘味でそれでいて口の中に芳醇さが残り、よりフルーティーな味わい。「禅寺丸柿」が片手にすっぽりと納まる大きさなのに対して、両手にいっぱい、ずっしりとくる重さです。

東京限定品種として都内の生産者に普及され、東京ブランドの柿として全国へ宅配されるようにまでなっています。

日野市内で栽培しているのは万願寺駅近くの農家です。弟分の「東京紅」とともに10月下中から庭先販売もされますので、探して、東京の柿、味わってみてください。

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