春。梅の路を歩く

日野で梅といえば百草園。山合いの日本庭園には春の色を求める人が絶えません。ここから、多摩丘陵に沿って、江戸時代には幕府に「御用梅」として貢納もしていたかっての梅の産地、三沢、南平の地を歩きます。

特に南平では造成された丘陵地の斜面に植えられた梅が成長し、思わぬ風景を見せてくれています。

コース 京王線百草園駅~百草園~百草八幡宮~百草台公園~三沢配水場(給水塔)~高幡不動尊~富士見公園~ほほえみ公園~京王線南平駅

道案内

百草園駅から高幡不動方面へ、ほどなく左手に百草園へ入口を示す看板があります。ここからだんだんと坂道になります。

最後はかなりの急勾配、この坂は江戸時代まで百草園の場所にあったお寺、松蓮寺の名前から松蓮坂と呼ばれています。松蓮寺も江戸時代、景勝の地として知られていました。

百草園

京王百草園。京王電鉄が管理している日本庭園です。春の梅、秋の紅葉と四季を通してさまざまの表情を見せてくれています。

百草八幡神社

鎌倉時代以前からの歴史を持つ神社です。境内のスダジイの巨木群は近隣ではここでしか見られません。

百草台公園

丘陵の樹林を生かした公園です。規模はさほど大きくありませんが、急な階段を上がった頂上からの見晴らしが良く、都会方面までの見晴らしがききます。春になると桜、林の間には山野草が咲き、いろいろな生きものに出会うことができます。

春も素敵な百草台公園
春も素敵な百草台公園

三沢配水場(給水塔)

このあたりで一番の高所になります。南は多摩丘陵、そして多摩ニュータウンが望め、東は都心方面、北には武蔵野の台地から関東平野が望めます。

三沢配水場付近から新宿方面を見る
三沢配水場付近から新宿方面を見る

道案内

百草園からこの三沢配水場までの道筋は、丘陵の尾根を多摩動物公園まで続く日野市の七生丘陵散策東コースの一部です。三沢配水場で七生丘陵散策東コースと別れ、眼下の景色を楽しみながら高幡不動へと下ります。

高幡不動尊

関東三大不動です。年間を通して多くの人が参拝に訪れます。
梅の花が終わりに近づくと、高幡不動尊の境内では、日野市の天然記念物でもあるサンシュの黄色の花が、林間に浮かび上がります。

道案内

高幡不動尊の玉垣に沿って進みます。この道は旧稲城往還といわれている道です。道すがらには小さな金剛寺旧跡公園、獨地蔵尊や文永の板碑など歴史を刻み続ける史跡もあります。南平はもと武州多摩郡平村といい、昔、平家の一族が住み着いた土地だといわれています。道に並ぶ大きな屋敷の表札にも「平」姓が多く見られます。

南平という地名は八王子市の多摩川沿いにやはり平と呼ばれる村があったため、南にある平村から名付けられました。

「文永八年辛未中冬日」と刻まれた、日野市内では最古の板碑が梨畑の中に建っています。

「文永八年辛未中冬日」と刻まれた、日野市内では最古の板碑が梨畑の中に建っています。

獨地蔵尊は今も信仰されており、正徳2年(1711)建立された地蔵尊です。

獨地蔵尊は今も信仰されており、正徳2年(1711)建立された地蔵尊です。

古くからの家並みを過ぎると、目の前は丘陵を切り開いた住宅地になります。そこへ続く坂道を上がり、住宅の間を進みます。

広い鹿島台公園は気持ちの良い公園、晴れればここから富士山も望めます。

住宅地へ上がるかたわらにある梅の木です。ここ数年の間であたりは宅地に姿を変えました。
住宅地へ上がるかたわらにある梅の木です。ここ数年の間であたりは宅地に姿を変えました。

富士見公園・ほほえみ公園

小さな富士見公園下の斜面は梅の園。紅白の梅が覆い、その向こうに南平、そして浅川方面が一望できます。

ほほえみ公園下も梅林です。公園脇の階段は梅のトンネルです。

富士見公園斜面の梅園
富士見公園斜面の梅園
ほほえみ公園下
ほほえみ公園下

道案内

ほほえみ公園から階段を降り、南平駅を目指します。
途中、石橋供養佛堂や山門の前が梅林の寿徳寺を巡ってみることもできます。

石橋供養佛堂
石橋供養佛堂

南平駅

大正15年(1926)4月28日 、玉南電気鉄道の「南平駅」として開設されました。玉南電気鉄道は府中と八王子を結ぶ鉄道として敷設されましたが、同年12月には京王に合併され、昭和3年からは八王子と新宿の直通運転が始まっています。