春がすみのころ
10月の末から冬至に向って冴えを見せていた富士山も、近ごろではすっかり霞みに隠れてしまうことが多くなりました。特に、「花粉」という季語が新しく加わるようになってからはなおさらのことです。
百草園の梅祭も春分の日で終わり、いよいよ桜を迎えるばかり。こんな間隙を縫うようにして高幡不動尊の山中に黄金色に咲く花木があります。サンシュです。秋には真っ赤な果実を付け、紅葉も楽しめます。
調べてみました。すると、サンシュは中国・朝鮮半島原産で、薬用植物として享保7年(1722)渡来したのだそうです。
高幡不動のサンシュは愛宕山に登る山道のかたわらにあり、樹齢200年以上と思われている古木です。それゆえ、日野市の指定天然記念物にも指定されています。杉木立に囲まれているせいか、少し花を付ける時期が遅いようで、でも、一度咲くと濃い森の緑に映える姿が印象的です。
サンシュは枝一面に黄色く開花する様子から、縁起の良いハルコガネバナ(春黄金花)とも呼ばれています。
節分が過ぎ、桜までのちょとした静けさに包まれた高幡の山で見つけられる縁起物です。