今年の鮎の遡上はいかが

5月の始め、新聞のローカル版が調布の多摩川堰で、稚鮎の遡上を告げていました。
遡上の時期になると、いつもは閉じている堰を開放して、鮎たちが上流へ向うのを助けるのが、このところ恒例となっています。
その功のおかげもあって、一昨年は調査によると200万尾もの鮎が多摩川や浅川に遡上してきたとのこと。

今年の鮎の遡上はいかが
長沼橋下での魚道調査


昨年も、その前ほどではないものの、鮎の姿が見られました。
となると、さて、祭が過ぎた翌日にはと来年の祭を考えているようなもので、今年はいかにと、思うのも人の情けというもの。
今月になって、多摩川や浅川では、数カ所で国土交通省京浜河川事務所が鮎の遡上調査を行っていました。
日野では、石田大橋の下、多摩川鉄橋、浅川との合流点、平山橋下、長沼橋下にある魚道に網をかけ、遡上してくる鮎や魚が調べられていました。
作業の方にお話を聞いてみると。
多摩川には順調に遡上しているものの、浅川は鮎はおろか、この時期に見られるオイカワやハヤの姿が見えないということです。
もう5月下旬ですから、例年は釣り糸を垂れればそれなりの釣果があるのに、どうもおかしいと思っていたら、魚がいないのですから、釣れようがないはずです。

今年の鮎の遡上はいかが
増水でなくなってしまっていた浅川に沿った滝合小学校の
自然観察場、ワンドも新しく作り直されました。

どうやら、昨年の夏に起った台風による増水がその原因。
増水によって河床が掘られて、河岸が削られた浅川では大規模な河川改修工事がいたる所で、この冬から行われています。
苔がついた石、エサとなる水性昆虫ももちろん工事では取り除かれて、まだ回復していないようです。
ホタルではないですが、「こっちの水は甘いよ、こっちの水は辛いよ」と、多摩川へと進路をとっているのでしょう。
でも、心配はいりません。
大雨が降って、ある程度増水して、川筋が安定するころには、また、石が苔むし、その下には虫たちも、川岸には草が根をはり水面を覆い、魚たちの隠れ場所を作ってくれるはずですから。