富士見の桜

いよいよ待ちに待った今週が桜の本番です。
長年、純農村地帯だった日野。
先人たちが、畑に田んぼに堆肥をほどこしてきた遺産が、住宅地と変わった今も土の中に「栄養」として残されており、ほんの数十年で、腕くらいの太さで植えられたソメイヨシノの中には、100年ものと思えるほどの大木に成長してるものもあります。

富士見の桜

富士見の桜

富士見の桜
富士見の桜
10年はもはや遠い昔

ソメイヨシノの寿命は、60年位と言われていますので、そこからも100年はないだろうと気が付きはするのですが、ここ、京王線平山城址公園駅からすぐ北側の浅川土手に植えられているソメイヨシノは、調べてみるとどうやら定説を覆して、100年近くの樹齢らしいのです。
昭和33年に、今は日野市と合併して中学校名にだけその名を残している、当時の七生村が合併記念に発行した「七生村村誌」によると、「大正時代、平山橋の際に別荘を構えていた安田財閥の創業者、安田善次郎氏が大正天皇の即位を記念して寄贈したものを、七生村青年団の面々が、八王子市北野まで移植した桜並木の一部」、だろうということ。
不幸なことに戦時中に燃料とされ、大部分は切り倒されて今では、こうして部分的に残っているのです。
そうすると、ゆうに100年近く経っている桜です。
ここの桜のもう一つのお楽しみは、満開時にスッキリと晴れ渡ると花をたわわにした枝越しに、富士山が望めること。
ほんの10年前までは、レンゲ畑が広がり、その向うに桜、そして富士山の三拍子がそろっていたのですが、レンゲは宅地に取って替わってしまったは時代の趨勢でやむなしとしても、富士見の桜はまだ健在です。
おかしなもので、桜の木の下を田んぼに水を引くためにちょろちょろと流れていた水路が、住宅地化と共に親水の場と整備されたら、風情はそがれたのに、逆に遠くからも訪れる人がだいぶ増えてきています。