「もしドラ」の舞台にもし行ってみれば

昨年から200万部超のベストセラーとなっている、「もしドラ」こと『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』。
その舞台は「程久保(ほどくぼ)高校」。
うんうん、程久保ね。
えっ、程久保。
程久保といえば、日野にあるではありませんか。

「もしドラ」の舞台にもし行ってみれば
程久保の丘の上から

「もしドラ」の舞台にもし行ってみれば
丘を造成した住宅に囲まれた程久保駅

さすがに、程久保高校さえありませんが、さっそく読んで見ると、「東京の西部、関東平野が終わって多摩の丘陵地帯が始まる」、「大小さまざまな丘の連なる一角」、の「見晴らしのよい高台の上に建っていた。教室の窓からは、遠く奥多摩の連山や、晴れた日には富士山まで見通せた」(p.7)
あらら、これってまさしく日野の程久保の風景そのものです。
程久保は、その名前が示すとおり、窪んだ地。
多摩丘陵から流れ出した程久保川が刻み込んだ谷間で、その奥には多摩動物公園が半世紀年前に開園しています。

「もしドラ」の舞台にもし行ってみれば
富士山から全部欲張るなら、南平高校の上、かたらいの路

「もしドラ」の舞台にもし行ってみれば
程久保を行くモノレール
「もしドラ」の舞台にもし行ってみれば
程久保川の上流は今だのどかな場所です

昭和30年代後半からは雑木林に覆われていた丘は次々と切り崩され宅地となり、、静かな農村をゆったりと流れていた程久保川は真っすぐに河川改修されました。
丘の上までも団地が建設され、でも、今では、団地も宅地も当初の勢いをそがれ、静かさを深めているという「典型的な高度成長期郊外開発の今」といった光景を見せているところです。
ところで、やっぱり学校ですから、きっとモデルになった学校があるに違いないと思いつくのは、容易な成り行き。
候補は5校。
明星大学、日野市教育センター(旧高幡台小学校)、夢が丘小学校(旧程久保小学校)、日野第三中学校、そして、少し離れるけれども、同じ高校として都立南平高校の5校。
教室から見える風景としては、文句なしに明星大学と日野市教育センター(旧高幡台小学校)。
日野第三中学校と都立南平高校はちょっと眺望に無理があります。

「もしドラ」の舞台にもし行ってみれば
まん中の建物は夢が丘小学校

「もしドラ」の舞台にもし行ってみれば
程久保川ではおなじみです

夢が丘小学校からは富士山は少し怪しいですが、他の条件はクリヤー、名前しても、夢が丘小学校は旧程久保小学校。
なぜ「旧程久保小学校」なのか、その理由はいかにも、時代的です。
この丘陵地に移り住んだ世代が、子育てが終わると同時に、児童数が減少してしまい、隣り合ってまで建てられていた、程久保小学校と高幡台小学校が統廃合されて、程久保小学校の校舎を引継ぐ形で「夢が丘小学校」が開校したのです。
それになんといっても、作者の岩崎夏海さんが、程久保小学校に通っていたということが有力だな、などと憶測をしていてもしかたない。
小説の話ですから、そう、多摩モノレールの程久保駅から、高台に上がると、教室の窓からではないけれど、「程久保高校」に行った気分になれる場所、確かにあるのです。
そんな場所からは、もし、天気と運に恵まれれば、「遠く奥多摩の連山や、晴れた日には富士山まで見通せた」どころではなく「遠く那須の連山から日光、白根、秩父、から奥多摩、富士山を通り越して丹沢、東を見ればスカイツリーまで見通せる」はずです。