時代を越え続けられるまつり
「祭り」という言葉からは、近ごろは学園祭に文化祭、さらには自治会祭りに、夏祭り、みんなで集まって楽しむ「催しもの」を思い浮かべていまいます。
日野ではこれからの秋の季節、もうすぐ始まる菊まつり、紅葉まつり、産業まつり、そして大学祭、と楽しめる祭りが目白押しです。
東光寺安産薬師護摩供養
東光寺安産薬師堂
それを前にして、10日には東光寺の安産薬師、17日は石田寺の北向観音でそれぞれ地域で長く伝承されているおまつりが行われました。
どちらも、その始まりが何時なのか判らない程遠い時代から、その時代時代の人々によって受け継がれて来ているおまつりです。
東光寺の安産薬師は天正8年(1580)に再建されたと伝えられおり、さらにさかのぼって最初建立は鎌倉時代以前と考えられています。
本尊薬師如来
安産薬師に集うみなさん。
朝から昨年に授かったお札を持ち寄り、一年間の無病息災に感謝し、さらにこれからの一年間も安泰で過ごせるようにと、護摩供養に参加するみなさんも、準備に追われる世話人の方々も、古くからこの地で生活を築いてこられています。
名前の通り、安産祈願で知られる、この薬師には今でも、参拝する妊婦の方も多く、無事に大きく育ったお子さんを連れて来られ、親子で感謝する姿も見られます。
こうして、また、次の世代にもきっと受け継がれていくのでしょう。
石田寺北向観音まつり
ホラ貝の音が境内に響きます
土方歳三の墓所があることで知られている石田寺。
石田寺再興のきっかけになった十一面観音像を安置されている観音堂は、本堂とは向かい合い、北向きに建てられているにはことから北向観音とも呼ばれ、古くから勝負運に強く、病魔退散、子育て観音として信仰されています。
毎年10月17日に決められている北向観音まつりまつりでは、仮設舞台も作られ、歌謡ショーも開かれる地域の楽しみの場でもあります。
十一面観音像
でも、この形になったのは27年前からということ。
現在の御住職が、観音堂で少なくとも江戸時代から行われている「念仏講」の日に合わせて「北向き観音まつり」を始められました。
仮設舞台も一年に一度のこの日のために、お寺さんが購入したものだそうです。
護摩供養の後、舞台では待っていたかのように、歌謡ショーの開演です。
小さな屋台からはおでんのいい匂いがしてきます。
同時に観音堂ではこのまつりのもう一つの主役、「念仏講」が始まります。
樹齢は400年以上、または600年かともいわれているカヤの木の下に、観音堂から聞こえてくる地域のご婦人たちの読経と舞台からの音がまつり縫われて響き合います。